問題 2
次の( )に当てはまる故事成語として最も適切なものはどれでしょうか?
「新製品の開発に( )の思いで臨み、ついに市場で大ヒットを飛ばすことができた。」
- 臥薪嘗胆
- 塞翁が馬
- 呉越同舟
【解答】
A. 臥薪嘗胆
【解説】
「臥薪嘗胆」は、復讐や目標達成のために長い間苦労を耐え忍び、努力を重ねることを意味します。呉に敗れた越王・勾践が、苦い胆を嘗めて屈辱を忘れず、薪の上で寝て苦痛を味わいながら復讐の志を燃やした故事に由来します。長期間の苦労の末に成功を収めたという文脈で使われるため、この文には「臥薪嘗胆」が最も適切です。
問題 5
次の( )に当てはまる故事成語として最も適切なものはどれでしょうか?
「我々が競合他社と値下げ競争を続ければ、結局は消費者が( )を得るだけだ。」
- 漁夫の利
- 虎の威を借る狐
- 助長
【解答】
A. 漁夫の利
【解説】
「漁夫の利」は、両者が争っているすきに、第三者が何の苦労もせずに利益を横取りすることを意味します。シギとハマグリが争っているところを漁師が両方とも捕らえたという『戦国策』の故事に由来します。
この文では、競合他社(二者)が争うことで、消費者(第三者)が利益を得るという構図になっているため、「漁夫の利」が最も適切です。
問題 8
次の( )に当てはまる故事成語として最も適切なものはどれでしょうか?
「彼は部長の名を出して取引先に圧力をかける、まさに( )のような振る舞いだ。」
- 塞翁が馬
- 虎の威を借る狐
- 株を守る
【解答】
B. 虎の威を借る狐
【解説】
「虎の威を借る狐」は、権力者の威光をかさに着ていばる小者のたとえです。『戦国策』にある、虎に捕らえられた狐が「私は百獣の長だ」と言って虎を騙し、その前を歩くふりをして威張ったという故事に由来します。この文では、本人の実力ではなく「部長」という権力者の権威を背景に威張っている様子を表しているため、「虎の威を借る狐」が最も適切です。
問題 9
次の故事成語の由来となった故事の内容として正しいものはどれか?
「助長」
- 苗の成長を早めようと引っ張り、枯らしてしまった。
- サルを騙すために朝と晩の餌の配分を変えた。
- 竜の絵に瞳を点じると、竜が天に飛び去った。
【解答】
A. 苗の成長を早めようと引っ張り、枯らしてしまった。
【解説】
「助長」は、『孟子』公孫丑上にある「宋人其の苗の長ぜざるを患ひて之を揠(ぬ)きんとす」(宋の人が苗の生長しないのを心配して、引っ張って伸ばそうとした)という故事に由来します。現在では、力を添えて成長を促す良い意味でも使われますが、「ゆきすぎた助長」として、無理に成長させようとしてかえって害をなすという、故事本来の否定的な意味で用いられることも非常に多い重要な成語です。
問題 10
次の故事成語の意味として最も適切なものはどれか?
「塞翁が馬」
- 人生の幸不幸は予測できず、転変するものだ。
- 苦労を重ねて、大きなことを成し遂げる。
- 少しの違いで、本質的には同じである。
【解答】
A. 人生の幸不幸は予測できず、転変するものだ。
【解説】
「塞翁が馬」は、『淮南子』人間訓にある故事です。塞翁(国境の老人)の馬が胡の地に逃げる(不幸)→ 駿馬を連れて戻る(幸福)→ 息子がその馬から落ちて骨折する(不幸)→ おかげで兵役を免れ命が助かる(幸福)というように、幸せと不幸が巡り合い、予測できないことを教えています。物事の吉凶は簡単に判断できないという深い哲理を含んだ故事成語です。
問題 11
次の( )に当てはまる故事成語として最も適切なものはどれでしょうか?
「過去の成功手法に固執する( )のような経営では、デジタル時代に対応できない。」
- 杞憂
- 株を守る
- 漁夫の利
【解答】
B. 株を守る
【解説】
「株を守る」は、『韓非子』五蠹にある故事です。偶然ウサギが木の株にぶつかって死んだのを拾った宋の農夫が、以後は仕事もせずに株のそばでウサギを待ち続け、笑い者になったという話に由来します。この故事から、古い習慣やしきたり、過去の幸運に固執し、状況の変化に対応できないことのたとえとして用いられます。ビジネスの文脈では、過去の成功体験に縛られた柔軟性のない経営を批判する際に使われます。
問題 12
次の故事成語の由来となった故事の内容として正しいものはどれか?
「画竜点睛」
- 蛇の絵を描き、余計な足を描き加えてしまった。
- 竜の絵を描き、最後に瞳を入れると天に飛び去った。
- 苗の成長を早めようと引っ張り、枯らしてしまった。
【解答】
B. 竜の絵を描き、最後に瞳を入れると天に飛び去った。
【解説】
「画竜点睛」は、唐の張彦遠『歴代名画記』にある伝説です。画家の張僧繇が金陵の安楽寺の壁に竜の絵を描き、最後に瞳を点じると、竜が天に飛び去ってしまったという故事に由来します。ここから、物事を完成させるために最後に加える最も重要な仕上げ、または全体を引き立たせる肝心な部分を指す故事成語となりました。Aは「蛇足」、Cは「助長」の故事です。
問題 13
次の故事成語の意味として最も適切なものはどれか?
「鶏口となるも牛後となるなかれ」
- 大きな組織の末端より、小さな集団の長になれ。
- 苦労してでも、大きな成果を目指すべきだ。
- 目先の利益に惑わされず、将来を見据えよ。
【解答】
A. 大きな組織の末端より、小さな集団の長になれ。
【解説】
「鶏口となるも牛後となるなかれ」は、『史記』蘇秦列伝にある言葉です。「鶏口」は鶏のくちばし(小さい群れの頭)、「牛後」は牛の尻(大きい群れの末端)を指し、大きな組織の末端で使われるよりは、たとえ小さくともその集団の長になる方が良いという意味です。縦横家の蘇秦が六国に秦に対抗する合従策を説いた際の言葉で、進路やキャリア選択を考える際に引用されることも多い故事成語です。
問題 14
次の( )に当てはまる故事成語として最も適切なものはどれでしょうか?
「この企画の成功は、彼の最後のアイデアが( )となった。」
- 蛇足
- 画竜点睛
- 矛盾
【解答】
B. 画竜点睛
【解説】
「画竜点睛」は、物事を完成させるために最後に加える最も重要な仕上げを意味します。この文では、「最後のアイデア」が企画の成功を決定づける「最も重要な仕上げ」となったという意味で使われており、「画竜点睛」が最も適切です。Aの「蛇足」は余計なもの、Cの「矛盾」はつじつまが合わないことなので、文脈に合いません。
問題 15
次の故事成語の由来となった書物として正しいものはどれか?
「呉越同舟」
- 『孫子』
- 『史記』
- 『戦国策』
【解答】
A. 『孫子』
【解説】
「呉越同舟」は、『孫子』九地篇にある「夫れ呉人と越人とは相悪むも、其の舟を同じくして済りて風に遇うときは、其の相救うや左右の手の如し」(呉と越の者は仲が悪いが、同じ舟に乗り合わせて嵐に遭った時は、左右の手のように助け合う)という言葉が由来です。仲の悪い者同士が、共通の困難や利害に対しては一時的に協力し合うことを意味します。漢検1級では、故事の出典も正確に覚えておく必要があります。
問題 16
次の故事成語の意味として最も適切なものはどれか?
「羊頭を掲げて狗肉を売る」
- 見かけや宣伝は立派だが、中身や品質が伴わない。
- 両者が争っている隙に、第三者が利益を得る。
- 必要のない心配をして、自分自身を苦しめる。
【解答】
A. 見かけや宣伝は立派だが、中身や品質が伴わない。
【解説】
「羊頭を掲げて狗肉を売る」は、看板には羊の頭(高級な食材)を掲げておきながら、実際に売っているのは犬の肉(粗悪な食材)であることから、見かけや宣伝は立派だが、中身や品質がそれに伴わないこと、看板に偽りがあることを意味します。現代では、誇大広告や偽装表示などの行為を批判する際に用いられます。Bは「漁夫の利」、Cは「杞憂」の説明です。
問題 17
次の( )に当てはまる故事成語として最も適切なものはどれでしょうか?
「ライバル社とは日頃は対立しているが、この大規模な業界再編という課題には( )で臨む必要がある。」
- 呉越同舟
- 朝三暮四
- 管鮑の交わり
【解答】
A. 呉越同舟
【解説】
「呉越同舟」は、仲の悪い者同士が、同じ場所や境遇にいること、また共通の困難や利害に対しては一時的に協力し合うことを意味します。この文では、「日頃は対立している」ライバル社が、「業界再編」という共通の大きな課題に対して協力する必要があるという状況を表しており、「呉越同舟」が最も適切です。Bの「朝三暮四」は気まぐれ、Cの「管鮑の交わり」は深い友情を表すので、文脈に合いません。
問題 18
次の故事成語の由来となった人物として正しいものはどれか?
「背水の陣」
- 藺相如
- 韓信
- 蘇秦
【解答】
B. 韓信
【解説】
「背水の陣」は、『史記』淮陰侯列伝に登場する漢の武将、韓信の故事です。川を背にして陣を敷き、兵士に退けば溺れ死ぬしかない状況を作り出し、必死に戦わせて勝利しました。ここから、絶体絶命の状況で、一か八かの決意で事に当たることのたとえとして用いられます。Aの「藺相如」は「完璧」、Cの「蘇秦」は「鶏口となるも牛後となるなかれ」に関連する人物です。
問題 19
次の故事成語の意味として最も適切なものはどれか?
「杞憂」
- 必要のない心配や取り越し苦労。
- 両者の主張や立場が食い違うこと。
- 無用なものや余計な付け足し。
【解答】
A. 必要のない心配や取り越し苦労。
【解説】
「杞憂」は、『列子』天瑞にある故事です。杞の国の人が「もしも空が崩れ落ちてきたらどうしよう」と心配し、食事も睡眠も取れなくなってしまったという話に由来します。ここから、起こる可能性がほとんどないことや、必要以上に将来を心配することを意味します。Bは「矛盾」、Cは「蛇足」の説明です。
問題 20
次の( )に当てはまる故事成語として最も適切なものはどれでしょうか?
「この報告書の結論部分は簡潔で良い。さらに詳細なデータを追加するのは( )だろう。」
- 矛盾
- 蛇足
- 助長
【解答】
B. 蛇足
【解説】
「蛇足」は、無用なもの、余計なもののたとえです。『戦国策』にある、蛇の絵を早く描き上げた者が、余計な足を描き加えているうちに酒を奪われた故事に由来します。この文では、「簡潔で良い」結論に「さらに詳細なデータを追加する」ことは、なくてもよい付け足し、つまり「蛇足」であるという意味で使われています。Aの「矛盾」はつじつまが合わないこと、Cの「助長」は(悪い意味で)無理に成長させようとすることなので、文脈に合いません。