筆画(ひっかく)とは、漢字の字体を構成する要素の一つで、もっとも最小の単位です。
筆を下ろして書き始め、再び離すことでできる漢字の線または点です。
筆画の数を画数(かくすう)といい、1画、2画と数えます。
また筆画を並べていく順序を筆順といいます。
古くは永字八法という「永」の字を使った書法で筆画の基本を説いていました。
側(ソク、点)、勒(ロク、横画)、努(ド、縦画)、?(テキ、はね)、策(サク、短い右上がりの横画)、掠(リャク、左斜めはらい)、啄(タク、短い左斜めはらい)、磔(タク、右斜めはらい)。
ただし、これはあくまでも書法の説明であって筆画を分析したものではありません。
現在の中国では約30ほどの筆画が設けられています。
点(丶)、横(一)、竪(ジュ)(h たて)、提(右上斜めはね)、?(ヘツ)(丿 左斜めはらい)、捺(ナツ)(? 右斜めはらい)、鉤(コウ)(?・亅
かぎ:横画または竪画からのはね)、折(? おれ)の8つを基本とし、
あとはその応用で説明されます。
例えば、「乃」の右の筆画は、横折折折鉤。筆画を組み合わせて、偏旁が作られます。
漢検準1級の漢字全ての中で一番画数が多いのは憂鬱の鬱(29画)です。
これは難しい漢字として結構有名ですね。
例えば、「教養の漢字学」(阿辻哲次)のまえがきにも、「この漢字はなぜこう書くのかな、とか、「鬱」なんて難しい字はいったいだれがどのようにして作ったのだろう、とか、文字を習得した段階ではいろいろと素朴な疑問も感じたはずなのだが」と書かれていて、「鬱」は複雑な漢字の代表格のようです。
ちょっとここで漢字検定(漢検)から離れて、JIS漢字全体の中で一番画数が多い漢字を見てみます。
親鸞の鸞と、青森県にある驫木(とどろき)駅の驫の2字、30画です。
「鸞」の方は小学生も塾で習ったりしますが、漢字検定(漢検)1級です。
「驫」は漢字検定(漢検)には出ない漢字です。
で、ここで再び漢字検定(漢検)の方に戻ってきます。
合格率は7分の1以下という漢字検定(漢検)1級の出題漢字の中でのトップは33画です。
音読みは「ソ」・訓読みは「あら(い)」のこの漢字。
「枝大葉」という四字熟語もあって、「細かい規則にこだわらず、自由に筆を振るって文章を書くこと」を意味するそうです。
東京堂出版の「名乗辞典」にもこの漢字は出ていました。
三沢郎(あらお)という名前が「全日本紳士録」という本に付いているということです。
いろいろな字書でのトップを見てみましょう。
小学館の「新選漢和辞典」では、(36画)です。
音読みは「ノウ」、鼻がつまるという意味です。
講談社の「新大字典」。
音は「トウ」「ドウ」、龍が行くの意味で48画のが最高です。
その後に「名乗 ひろ」と書いてあったのが気になったのですが、
この字で「ひろ」と読む名前を持つ方がいたということでしょうね。
今は人名に使える漢字が制限されているからこんなことはできないなぁ…。
清の康煕帝が作らせた「康熙字典」には47035字が収められていますが、その中で一番なのは、(52画)です。
音読みは「ホウ」「ビョウ」、意味は「雷聲」です。(大漢和辞典には「いかづちのおと」と書いてあります)
さて、いよいよ諸橋轍次の「大漢和辞典」です。
大漢和辞典での最大の画数は、実に六十四画という漢字です。
実は2つあって、1つはです。「テツ」「テチ」の音で、意味は「言葉が多い。多言。」と書いてあります。この字は結構有名のようで、いろいろなところに知られていますね。
もう1つは、。音読みは「セイ」ですが、意味は残念ながら未詳だそうです。
テツ、テチ 言葉が多いさま。
セイ 義未詳 。
国字になると、
読み:おとど、たいと、だいと(八十四画)があります。
小学1年生の漢字の中で一番画数が多い漢字は、森です。
1年生の漢字の平均5画の2.4倍もある12画です。
2年生の漢字になると、18画というのが出てきます。
顔と曜。
「森」の1.5倍になり、2年生にとっては十分複雑な漢字でしょう。
3年生の漢字になると、同じく18画の題。
画数に変化はありません。
4年生の漢字になると、議と競で20画。
5年生の漢字はやはり、最高は20画の護です。
6年生の漢字は、逆に減って19画の警・臓となります。
中学校では何年生でどの漢字を習う、と明確には決められていませんので、漢字検定の級で考えていきます。
4級でいきなりこれまでの記録を大きく上回る 鑑 が出てきます。
3画も増えて23画です。
3級になると、21画の 顧と魔 がトップ。
2級も 艦 の21画までしかありません。
結局、2級まで(常用漢字範囲内)では23画が最高だということになりました。